2026.08.22
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地震に強い家とは?魚津の暮らしを守る耐震の考え方

伊藤 甚宰

こんにちは。エリーヌホームの伊藤甚宰です。

暑い日が続いていますが、皆さんお変わりありませんか。
この時季は台風や大雨の便りが増え、防災について考える機会も多くなります。
そして富山に暮らす私たちにとって、忘れられない出来事がもうひとつあります。
令和6年の能登半島地震です。
魚津でも大きな揺れを感じ、「うちは大丈夫だろうか」と不安になった方は少なくないと思います。

今日は、家づくりを考えていらっしゃる方に向けて、地震に強い家をどう見極めればよいのかというお話をさせてください。
専門用語が並びがちな分野ですが、できるだけかみ砕いてお伝えします。

- 目次 -

1.なぜ今、魚津で「地震に強い家」の話をするのでしょうか?

2.2025年4月の法改正で、木造住宅の何が変わったのでしょうか?

3.「耐震等級3」は、どれも同じ強さなのでしょうか?

4. 雪国の家に、なぜ「雪」と「地盤」の視点が欠かせないのでしょうか?
5.揺れたあとも住み続けられる家にするには、何が必要でしょうか?

6.今お住まいの家の耐震は、どう考えればよいでしょうか?

7.よくあるご質問

なぜ今、魚津で「地震に強い家」の話をするのでしょうか?

令和6年1月に起きた能登半島地震では、富山県内でも観測史上最大となる震度5強の揺れが記録され、住宅にも広い範囲で被害が出ました。

特に印象に残っているのが、揺れそのものだけでなく、地盤の液状化によって建物が傾いたり基礎が沈んだりした事例が県内でも報告されたことです。
私たち富山の人間は、これまでどちらかというと「雪への備え」を第一に家を考えてきたところがあります。
もちろんそれは今も大切です。
ただ、あの地震を経験してからは、お客様との打ち合わせで「耐震はどうなっていますか」と尋ねられることが明らかに増えました。皆さんの関心が確実に変わってきているのを、現場で感じています。

そしてもうひとつ、家づくりを取り巻く制度そのものが、この一年ほどで大きく変わりました。ここを知っているかどうかで、依頼先を選ぶときの目線がずいぶん変わってきます。

2025年4月の法改正で、木造住宅の何が変わったのでしょうか?

2025年4月に施行された建築基準法の改正は、木造住宅にとって大きな節目になりました。
なかでも住宅を建てる方に関わりが深いのが、「四号特例」と呼ばれてきた仕組みの縮小です。

これまでは、構造の審査が省略されていた

従来、木造で二階建て以下、延べ面積500平方メートル以下といった条件に当てはまる建物は「四号建築物」と呼ばれ、建築士が設計していれば、建築確認の際に構造耐力に関する審査が省略される仕組みになっていました。
日本の一戸建ての大部分がここに含まれていました。

誤解のないように申し上げると、審査が省略されていただけで、基準を守らなくてよかったわけではありません。
ただ、第三者のチェックが入らないぶん、どこまで検討されているかは会社ごとの姿勢にゆだねられていた面はあったと思います。

改正後は、区分が組み替えられた

今回の改正で、これまで四号建築物とされていた区分は「新二号建築物」「新三号建築物」といった形に再編されました。
多くの二階建て木造住宅は新二号建築物にあたり、建築確認申請の際に構造関係の図書を提出することが求められるようになっています。

あわせて、壁量基準や柱の小径の基準も見直されました。
背景には、断熱材を厚くしたり屋根に太陽光パネルを載せたりすることで、住宅そのものが以前より重くなってきたという事情があります。
重い建物には、それに見合った強さがいる。理にかなった見直しだと思います。

制度の詳しい適用範囲や経過措置については、国土交通省の公表資料や所管行政庁の窓口で最新の内容をご確認ください。ここでは家づくりを考える方に関わりの深い部分を、かみくだいてご紹介しています。

お客様の立場で言えば、これからの家づくりでは「構造をきちんと確かめた書類が存在するのが当たり前」という時代に入った、ということになります。
逆に言えば、その書類を見せてくださいとお願いできる、ということでもあります。

「耐震等級3」は、どれも同じ強さなのでしょうか?

家づくりの資料を見ていると、必ずと言っていいほど「耐震等級3」という言葉が出てきます。
等級1が建築基準法で求められる水準、等級2がその1.25倍、等級3が1.5倍。住宅性能表示制度で定められた指標で、数字が大きいほど強いという分かりやすさがあります。
ただ、私が皆さんにお伝えしたいのは、同じ等級3でも、どうやってそれを確かめたかによって中身に差が出ることがある、という点です。

確かめ方には、いくつかの道すじがある

ひとつは、壁の量とそのバランスを中心に確認していく方法です。
もうひとつが「許容応力度計算」と呼ばれる方法で、こちらは柱や梁といった部材ひとつひとつに、どれだけの力がかかるかを計算していきます。
基礎、床、屋根、接合部まで含めて検討するので、確認する範囲が広くなります。

同じ等級3という表示でも、許容応力度計算まで行ったものは、より広い範囲を確かめたうえでの等級3ということになります。
どちらが正しくてどちらが間違い、という話ではありません。ただ、依頼する側としては「どの方法で確かめた等級3ですか」と一言尋ねてみる価値はあると思います。

間取りの自由度にも関わってくる

もうひとつ、あまり語られない利点があります。
部材ごとに力を計算していく方法だと、吹き抜けや大きな窓、スキップフロアといった変化のある空間でも、その部分の強さを個別に確かめながら設計を進められます。

「地震に強い家にすると、間取りが窮屈になるのでは」と心配される方がいらっしゃいますが、必ずしもそうではありません。
きちんと構造を検討する体制があれば、開放感と安心は両立できます。私たちが取り組んでいる
建築家とつくる家でも、設計の自由さと構造の裏づけは、いつも両輪で考えています。

雪国の家に、なぜ「雪」と「地盤」の視点が欠かせないのでしょうか?

ここからは、富山ならではのお話です。全国共通の耐震の話に、地元の条件を重ねて考える必要があります。

屋根に雪が載った状態で揺れたら

地震はいつ起きるか分かりません。
真冬に、屋根に雪がたっぷり載った状態で大きな揺れが来ることもありうるわけです。
雪の重さは建物の上のほうに加わりますから、その分だけ揺れ方が大きくなります。

富山のような多雪区域では、設計の段階でこの積雪の重さを見込むことになっています。
この土地の条件を織り込んだ設計になっているか。
魚津で家を建てるうえで外せない確認事項だと思っています。地元で長く仕事をしている工務店に相談する意味は、こういうところにあります。

足元が弱ければ、建物だけ強くしても

そしてもうひとつが地盤です。能登半島地震で県内に液状化の被害が出たことは、この点を強く印象づけました。
どれだけ丈夫な箱をつくっても、その下の地面が沈んだり傾いたりすれば、建物は傾いてしまいます。

土地が決まったら地盤調査を行い、その結果に応じて必要な地盤改良を判断していきます。
ここで大事なのは、地盤改良の費用は建物本体とは別にかかるということです。
土地探しの段階から、この費用を含めた総額で資金計画を立てておくと、後から予算が足りないという事態を避けられます。
お金の考え方については、以前に書いた
金利が上がる時代の資金計画の記事もあわせてご覧いただければと思います。

なお、富山県内の液状化のしやすさをまとめた資料が公的機関から公開されています。
土地探しの参考にはなりますが、あくまで広い範囲の傾向を示すものですので、最終的にはその敷地で実際に調査をすることが判断のよりどころになります。

揺れたあとも住み続けられる家にするには、何が必要でしょうか?

耐震というと「倒れないこと」に目が向きがちですが、私はもう一歩先を考えたいと思っています。
それは、揺れたあともその家に住み続けられるかどうかです。

大きな地震のあと、建物は倒れなかったけれど、傾きや損傷で住み続けられなくなる、というケースがあります。
避難所での生活が長引けば、体にも心にも負担がかかります。
家がそのまま無事なら、翌日からいつもの暮らしに戻っていける。これは家族にとって、とても大きなことです。

強さと、暮らしやすさは別々の話ではない

ここで前回までにお話ししてきたことと、つながってきます。
断熱がしっかりしていれば、停電で暖房が止まっても室温が急には下がりません。
富山の冬にこれは切実です。夏は涼しく、冬はあたたかい高気密高断熱の家のお話で触れた性能は、災害のときにも家族を守る力になります。

また、家具の転倒対策や水と食料の備蓄といった日々の備えも、建物の性能と同じくらい大切です。
設計の段階で「ここに造り付けの棚をつくれば倒れる家具を減らせる」といった工夫ができることもあります。
こうしたご相談も遠慮なくお寄せください。

今お住まいの家の耐震は、どう考えればよいでしょうか?

ここまで新築のお話が続きましたが、「実家が古いので心配」という声もよくいただきます。
ひとつの目安になるのが昭和56年5月です。この時期に耐震の基準が大きく変わりました。
それ以前に建てられた木造住宅は、まず耐震診断を受けてみることをおすすめします。
診断の結果を見て初めて、どこをどう補強すればよいかが見えてきます。

魚津市をはじめ富山県内の各市町村には、木造住宅の耐震診断や耐震改修を支援する制度が用意されています。
一定の要件を満たす住宅について、改修工事の費用の一部が補助される仕組みです。
ただし、対象となる住宅の条件、補助の上限額、受付期間は年度によって変わりますし、予算の枠に達すると受付が終わることもあります。
工事を始める前の申請が原則ですので、着工してから気づいた、ということのないように、まずは市の窓口にご相談ください。
私たちは新築だけでなく、こうした改修のご相談もお受けしています。「どこに聞けばいいか分からない」という段階で構いません。

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まとめ

今日は、地震に強い家をどう見極めるかについてお話ししてきました。要点をもう一度整理します。

2025年4月の法改正によって、木造住宅も構造関係の図書を出すことが求められるようになりました。
これはお施主様にとって、構造の中身を確かめやすくなったということでもあります。
耐震等級3という表示を見たら、それをどの方法で確かめたのかまで尋ねてみてください。
そして富山では、屋根の雪の重さと、足元の地盤という二つの視点が欠かせません。

数字や制度の話が続きましたが、根っこにあるのはとても単純なことです。
家族が眠っている家が、何かあったときにちゃんと守ってくれるかどうか。
私たち工務店の仕事は、突き詰めればそこに尽きます。
難しい言葉で煙に巻くのではなく、ひとつひとつ「なぜそうするのか」をご説明できる会社でありたいと思っています。

エリーヌホーム(伊藤建設株式会社)について

富山県魚津市に本社を構え、魚津・黒部・富山・滑川・入善・上市・立山・朝日をはじめ富山県内全域で注文住宅を手がけています。地域に根ざした工務店として、土地探しから設計、施工、お引き渡し後のお付き合いまでを一貫してお手伝いしています。

  • 地元での実績/富山の気候風土を知り尽くしたうえでの設計と施工
  • 省エネ性能への取り組み/エコ住宅・ZEH住宅など、暮らしの質を高める住まいづくり
  • 建築家とつくる家/敷地の条件を活かした自由設計という選択肢
  • 引き渡し後の安心/アフターフォローと保証の体制

くりのこと、耐震のこと、資金のこと。
   気になることがありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。

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よくあるご質問

Q.耐震等級3であれば、どの会社で建てても同じ強さになりますか?
A.同じ等級3でも、どの計算方法で確かめたかによって中身に差が出ることがあります。壁の量とバランスを中心に確認する方法と、基礎・床・接合部まで含めて部材ごとに検討する許容応力度計算とでは、確認している範囲が異なります。等級の数字だけでなく、どの方法で確認したのか、その計算書を見せてもらえるかを依頼先に尋ねることをおすすめします。
Q.2025年4月の建築基準法改正で、木造住宅の何が変わったのですか?
A.いわゆる四号特例が縮小され、これまで建築確認で構造関係の審査が省略されていた区分が見直されました。多くの二階建て木造住宅は新二号建築物という区分になり、確認申請時に構造関係の図書を提出することが求められます。あわせて、壁量基準や柱の小径の基準も、太陽光パネルや断熱強化で重くなった建物に合わせて見直されています。詳細は国土交通省の資料や所管行政庁でご確認ください。
Q.富山のような雪国では、耐震の考え方に違いがありますか?
A.積雪の多い地域では、屋根に雪が載った状態で地震が起きる可能性を考えておく必要があります。雪の重さは建物の上部に加わるため、揺れ方に影響します。多雪区域では設計時にこの積雪荷重を見込むことになっており、富山で家を建てるときは地域の条件を織り込んだ設計になっているかを確認しておくと安心です。
Q.地盤調査はどのタイミングで行うのですか?
A.一般には土地が決まった後、設計を固めていく段階で地盤調査を行います。調査の結果によって地盤改良が必要になることがあり、その費用は建物本体とは別に見ておく必要があります。土地探しの段階から、地盤改良費を含めた総額で資金計画を立てておくと、後から慌てずにすみます。
Q.今住んでいる古い家の耐震が心配です。まず何をすればよいですか?
A.昭和56年5月以前に建てられた木造住宅は、まず耐震診断を受けるところからです。魚津市をはじめ富山県内の各市町村には、木造住宅の耐震診断や耐震改修を支援する制度が用意されています。要件や補助の上限額、受付期間は年度によって変わりますので、お住まいの市町村の窓口で最新の内容をご確認ください。

執筆者プロフィール

伊藤 甚宰/伊藤建設株式会社 代表取締役

富山県魚津市の工務店「エリーヌホーム」の代表を務めています。子育て世代の家づくり応援団として、資金計画から性能、間取りの考え方まで、現場で見聞きしたことをできるだけそのままの言葉でお伝えしています。お客様との打ち合わせでいただいたご質問が、この社長ブログのいちばんの材料です。

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